和声音と非和声音という分類があります。「優美」の第1小節は「ファ、ラ、ド」の和音で書かれているので、「ファ、ラ、ド」は和声音、それ以外の音を非和声音といいます。さらに、非和声音の種類を大別すると、和声音を飾るもの(刺繍音等)と、高さの異なる二つの和声音間を繋ぐもの(経過音)があります。
飾りの音は、しばしば音符に記号で記され、音価の縛りなく自由に演奏されます。
「優美」に出てくる32分音符は、ターンという装飾を楽譜に記したもので、ターン記号で書けば、Exs.08のようになります。記号を用いて書くと、音符はすべて和声音ですね。ただしご承知の通り、実際の音符を用いるのに比べて、記号を用いて記譜されたものは自由度が高く、演奏が異なる場合もありますが。
大楽節Aで唯一の「ド」から「ラ」を繋ぐ経過音(t.4)が見られます。ターンとは違う動きをします。大きな旋回の最も輝かしいパッセージですから、勢いのある打鍵でまとめましょう。その後t.7〜8で連続ターンが最高音に向かっています。素敵に静止できるよう工夫するところですね。いずれの部分も自分が踊っているように動きのある演奏をしましょう。
なお、t.4の経過音説明で、和声音「ファ」が含まれていますが、経過中の音群について和声音かどうかを確認する必要はありません。オクターブ越えだろうが、半音階だろが、到達した音が和声音であれば良いのです。しかも、出発の和音と到達した和音が違っていても問題ありません。説明がまどろこしいので、楽譜で例示しておきましょう(Exs.08op)。