「ブルグミュラー25の練習曲」は、演奏が比較的容易で、適切に付けられた表題を頼りに情景を思い浮かべながら練習すると、生き生きと表現でき演奏の歓びが感じられます。それゆえ、こどもたちの意欲を高めてくれる練習曲、音楽表現の第一歩と広く知られているのです。
それとともに、「ブルグミュラー25の練習曲」は構造が分かりやすいので、楽曲分析を学習する導入テキストとしても適しています。分析して、その結果を生かした演奏が出来ると分析の意義が益々感じられるでしょう。
表現の練習曲というに相応しい「ブルグミュラー25の練習曲」を、作曲の方法論的視点からアプローチして作曲家の意図を想像し演奏に生かそうという趣旨で作成しました。
本練習曲に取り組む対象は主に、導入期を過ぎた頃のこどもが考えられますが、この項目は、練習中のお子様を支える保護者の方、指導される方等の参考に、又は、大人の方でピアノをより楽しんで演奏しようと考えている方、さらには、演奏に生かせる楽曲分析の方法を学習したいと望まれている方などを念頭に記述しています。
なお、小節番号は t.xxで示し、アウフタクトは小節数にカウントしません。繰り返し、第2括弧は小節数に算入しません。
1. 音型・モティーフと大楽節・・・「素直な心」
2. 反復とゼクエンツ・・・「アラベスク」
3. ゲネラルアウフタクト・・・「牧歌」
4. 模倣、反復・省略・・・「子供の集会」
5. 二部形式の統一と対照・・・「無邪気」
6. 保続音・・・「進歩」
7. 二重保続・・・「清い流れ 」
8. 非和声音・・・「優美」
9. 音楽の遠近法・・・「狩り」
10. 対位法の模倣・・・「やさしい花」
11. 音高のソノリティ・・・「せきれい」
12. コーダの回想・・・「別れ」
13. 大楽節の属調終止・・・「なぐさめ」
14. 順次進行・跳躍進行・保留・・・「スティリアの女」
15. 歪んだ楽節・・・「バラード」
16. 対比・対照・・・「小さな嘆き」
17. 連打の魔力・・・「おしゃべり」
18. 無窮動とリズムの阻止・・・「心配」
19. 他の楽器又は編成の模倣1・・・「アベ・マリア」
20. 拡大大楽節・・・「タランテラ」
21. 他楽器の模倣2・・・「天使の声」
22. 楽想が芽生える導入・・・「舟歌」
23. ワープ、瞬間移動または突然転調・・・「帰途」
24. ピアニズム・・・「つばめ」
25. 統一と対照に貢献する音色・・・「貴婦人の乗馬」