一部形式
大楽節 t.1〜16
a t.1〜8
a' t.9〜16
コーダ t.17〜32
Exs.23は、大楽節の a' 後楽節からコーダの最初の部分に入ったところです。コーダは、主部と趣の違う旋律で、それらが併置されています。大楽節の尾部とコーダの開始部との間にある、しりとり風で、即興的な、微妙な繋がりが、二つの併置を可能にしています。
コーダ(t.17から)の左手内声のE音とD音の繰り返しは、D音のトリルを大まかに記譜したものですから、コーダ全体は主音と属音を2重保続したもの、と言えます。手まわし風琴のドローン、バグパイプの保続して鳴り響く低音などのイメージです。
大楽節が作られているのにコーダとした理由は、保続音の存在もありますが、主部の精密な書式に比べて、主部の尾部を模唱してそれを即興的に歌い繋いでいるだけだからです。エンドレス感もあります。
勿論、コーダとせず、Aのあと大勢が加わって合唱する B と受け止めるなりして(思い描く情景は様々)、二部形式と考えることも出来るでしょう。そして、演奏表現も変わるでしょう。