カマリンスカヤは、ロシアの踊りの音楽です。それを主題とした変奏曲で動的な音楽作品に仕立てています。強弱要素と単純化によって遠近感を持たせ、実際にその場にいるような迫力があります。
アインガング t.1 (またはゲネラル・アウフタクト)
変奏曲の主題 t.2〜7 (t.8〜13までは繰り返し)
第1変奏 t.14〜25
第2変奏 t.26〜37
第3変奏 t.38〜49
ロシアの踊り(Exs.13-1はその冒頭)は、アインガングまたはゲネラル・アウフタクトが1小節あります。といっても、この主題は無限ループのようになっていて、冒頭のバスのD音は、この主題の最後の音が鳴っているのです。
主題はt.2からの6小節で、3小節の核となるモティーフを繰り返しています。さらに、この主題を繰り返して全体で12小節で構成されています。主題の核が4回繰り返されたという印象です。
主題提示の後、3つの変奏が続いて演奏されます。
主題から変奏3までの全体のデュナーミクをみると、
Thema= p Ver.1= mf Ver.2= f Ver.3= mf → dim.→ p→ pp
となっており、デュナーミクを使った遠近法が意図されています。第2変奏で踊りの場に最も近づいて、その後遠ざかっていくのですが、その第2変奏の音形が最も単純化されていることにも注目して下さい。接近したためディテールが飛んだ状態です。
カマリンスカヤは、ロシアのフォークダンスがもとになっているそうです。グリンカの作品に《2つのロシアのフォルクスリーダーによる「カマリンスカヤ」オーケストラのためのファンタジー》があります。そのTanzlied(踊りの歌)の開始は次のようです(Exs.13-2)。