チャイコフスキー「こどものためのアルバム作品39」の表現 楽曲分析と演奏表現

10. 「マズルカ」Mazurka

舞曲マズルカの固有の抑揚が分かりやすい伴奏形で書かれています。

 第10曲「マズルカ」の楽節構成

三部形式。

A t.1〜18

   a t.1〜8

   a' t.9〜18 (t.16〜18は終止延長)

中間部B t.19〜34

   b1 t.19〜26

   b2 t.27〜34 (b2はb1の繰り返しと尾部の原調復帰のための変更)

A t.35〜52

 中間部について

マズルカは主調d-mollで、主要部Aは平行調のF-durで閉じ、中間部Bに入ります。Exs.10-1 は、その中間部から主要部Aに再現する所です。

中間部は、b1, b2 の 2つの部分で構成されています。舞曲の中間部によくある繰り返しのパターンと、3拍目に置かれたマズルカ固有の抑揚を強調したようなアクセントが特徴です。

和声進行の側面からみれば、主要楽節AはF-durで終止しているので、中間部Bの開始和音はd-mollの主和音とも思えます。その感覚で進むとフリギア旋法の旋律です。素朴な感じの中間部です。

マズルカ

 単音にも和音の響きを感じて

マズルカ

Exs.10-2はマズルカの冒頭部分ですが、1拍目は、旋律、バス共にD音だけです。マズルカ固有の抑揚(この曲ではおもに3拍目)の表現は大切ですが、それ以上に最初の両声部の響かせ方には注意深さが必要です。

1拍目のバスのD音を弾く時、3拍目に出てくる和音の根音として支えのある音を響かせて下さい。それと共に、3拍目の固有の抑揚を支えるためにも、1拍目の音は深く奏でて下さい。拍頭には、拍頭としての役割があります。演奏に際しては、積み上げられた要素の集合体としての音を奏でることが求められます。

 

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▼INDEX

1. Morning Prayer
朝の祈り

2. Winter Morning
冬の朝

3. Playing Hobby-Horses
木馬に乗って

4. Mama
ママ

5. March of the Wooden Soldiers
おもちゃの兵隊

6. The Sick Doll
病気のお人形

7. The Doll's Funeral
人形のお葬式

8. Waltz
ワルツ

9. The New Doll
新しいお人形

10. Mazurka
マズルカ

11. Russian Song
ロシアの歌

12. The Accordion Player
お百姓の歌

13. Kamarinskaya
ロシアの踊り

14. Polka
ポルカ

15. Italian Song
イタリアの歌

16. Old French Song
フランスの古い歌

17. German Song
ドイツの歌

18. Neapolitan Song
ナポリの歌

19. Nanny's Story
おとぎ話

20. The Sorcerer
魔女

21. Sweet Dreams
甘い夢

22. Lark Song
ひばりの歌

23. The Organ-Grinder Sings
辻音楽師

24. In Church
教会にて