主要大楽節 A t.1〜24
前楽節 t.1〜8
後楽節 t.9〜24
中間大楽節 B t.25〜40
主要大楽節 A t.41〜64
コーダ(結尾) t.65〜72
Exs.03-1 は、第3曲「木馬に乗って」の主要大楽節Aです。
特徴として、
1. 主音保続が貫かれている。
2. 音形は、t.1の2度上がって戻る音形とt.2の連打の2種類だけである。これはt.63を除く全曲に及んでいる。
3. 反復の多用。
4. 内声にも特徴的な進行が織り込まれている。
などが挙げられます。
Esx.03-2はt.16までの和声進行を要約したものです。t.15は偶成和音です。t.15のすべての音はt.16の主和音の前に置かれた前打音(アポジャトゥーラ)で、Eis→Fis、Gis→A、H→A の各音にそれぞれ解決します。
t.25から中間大楽節Bに進みます。主音保続を止め、バスの動きが活発になることと、主調D-durから平行調に転調することで僅かに主要大楽節との区別がつく程度に変化します。Bの後半t.33からバスが順次進行で下行し属音に到達、Aに再現します。
偶成和音とは非和声音が集積した結果、和音に見えるものを言います。偶成和音は正規の進行の秩序からみれば、説明できないものです。例えばドミナンテからサブドミナンテに進行しているように見えたりもします。
Esx.03-1のt.1で、2拍目はIVの和音に見えますが、偶成和音です。t.3もV → IV → Vとなっていますが、同様です。これらは非正規進行になっています。ただ、このように出現した音の集積を通常では偶成和音として見たりはしません。偶成和音に係る問題は、15小節目に見られるような和音を通常の和音と思い込んで思案するような時です。
偶成和音という概念がなくても、和声音と和声音以外の音との区別が出来れば、楽曲分析で困ることはありません。