キーボード・ハーモニー
生徒が、自分で作った曲だ、と言って見せた旋律だけの楽譜を、先生がちょっとおしゃれに伴奏を付けて弾いてくれたら、その生徒はいっぺんに音楽が大好きになることでしょう。また、伴奏の楽譜がない曲を生徒たちが歌うとき、簡単なリズム伴奏をピアノで弾いてあげれば、歌うモチベーションは大きく膨らむことでしょう。このようなことは、教育現場ではよくあります。
「ざっくり」演奏して伝えることができれば目的が果たせるのにと思ったことはありませんか。鍵盤和声は、このようなことが出来るようにするための練習です。
和声学の実習はおもに書くことによって学びますが、実際にキーボードで和音の連結を演奏して習得していくのが鍵盤和声(キーボード・ハーモニー)です。語学学習に例えれば、書くことに対して「話す」練習によって習熟する感覚です。推敲を重ねた文章のような緻密さは求めず、骨組みだけを見ていきます。
鍵盤和声では、ざっくりと骨組みを体感するために慣れることが大切です。文法はほどほどにします。
本項は、楽典と基礎楽式の知識があることを前提に記述しています。おもに音楽教育に関心があったり、携わっている人たちを対象としています。和声の学習はしたけれど、実際の役には立たなかった、と感じている人も念頭においています。ある程度の和声の知識があれば、とても役立ちます。
「鍵盤和声」は、例題とリアリゼーションを説明した「Step」および、練習課題「Spielen」をセットにして実習を進めていきます。Spielen はドイツ語でシュピーレンと読みます。演奏する、遊ぶなどの意味です。
まず、Stepの例題を説明に従ってピアノで練習しましょう。やりかたが理解できたら、実際にSpielen課題をダウンロードして演奏して下さい。
「導入編」、「基礎編」、「応用編」の3つの段階的課題を習得し、旋律に伴奏を付けてピアノなどで演奏できるようにすることが目標です。