複声部を個別に聴く能力を高める「2声部楽曲の新曲視奏」の練習課題を公開しました。本課題は、すでに公開している『4声体和声聴音 着実に習得するための課題集』に続くものです。主な目的は、自習が難しい4声体聴音の実習を補完することにあります。
旋律聴音であっても自習には限界がありますが、特に4声体聴音の課題では、ピアノで課題を演奏してくれる人が必要なため、自主トレーニングが困難です。そこで、本課題では2声部の楽曲を自分で演奏し、両声部を個別に注意深く聴き分け、それぞれをコントロールする能力を身につける ことで、「聴く力」を養うことを目的としています。
両声部を個別に聴き分けられるようになると、聴覚が発達し、複数の声部を追って聴けるようになります。こうした訓練を通じて、和声聴音のスキルが向上し、その過程で得られる実感と達成感を味わうことができるでしょう。
その理由は単純で、2声部あれば音楽として成立し、構造が明確になり、理解しやすくなる ためです。骨組みと旋律の関係が把握しやすくなり、楽譜を立体的にイメージする力も養われます。
「2声部楽曲の新曲視奏曲」 は、第1集と第2集に分かれています。
第1集:比較的易しい課題から始まり、段階的に難易度が上がります。
第2集:中程度の課題が中心で、後半には変拍子の楽曲が含まれています。
一部の課題には「速度記号」「強弱記号」「表情記号」「演奏指示記号」「アーティキュレーション」などの記号が記載されていません。その場合は、適切な速度や強弱などを 自分で考え、音楽的に表現する ようにしてください。
一部の課題には ペダル記号 が記されています。その部分では右ペダルを適切に使用してください。ただし、それ以外の部分でペダルの使用を制限するものではありません。むしろ、2声部楽曲だからこそ、適切なペダルの使い方が求められます。
ペダルの使い方について
本課題の楽曲は 線的な(リニアな)書法 で構成されているため、過度にペダルを踏み込むと音が混濁します。ペダルを使用する際は「より良い音色を作り出す意識」を持つことが大切です。
ピアノのペダルは単なる「オン・オフスイッチ」ではありません。踏み込み始めてもすぐにはダンパー(消音装置)が働かず、「遊び」の部分を超えると初めてダンパーが弦から浮き上がります(グランドピアノの構造)。ペダルを少しだけ開放すると、水道の蛇口を完全に閉めずに少しずつ水が流れるのと同じ状態になります。つまり、ペダルは「踏む・離す」の二択ではなく、無段階でコントロールすることで、ピアノの音色作りに大きく貢献するのです。
課題の実習方法については、すでに公開している『自発的で音楽的な演奏表現力を身につけるピアノ新曲視奏』の中で、新曲視奏の目標・練習方法・注意点 について解説しています。ぜひ、あわせて参照してください。
また、本課題の実習が難しく感じる場合は、『こどものソルフェ 2声部聴音 穏やかな導入のための課題集』を用いた視奏トレーニングをおすすめします。これは「新曲視奏」の課題ではありますが、声部の楽曲に慣れるための良い教材となります。
最後まで取り組んでいただければ、2声部楽曲のトレーニングの効果を確実に実感できるでしょう。では、さっそく始めてみましょう!
複声部を
個別に聴く能力を高める
「2声部楽曲の新曲視奏」
○はじめに —
課題の目的と方法
○2声部による新曲視奏曲の練習課題について
○なぜ「2声部楽曲」なのか?
○課題実習の方法